逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。

「僕はエレノアにさえ想われていれば、他の方の気持ちは必要ありません」
私は聞き間違いかと思うフィリップ王子殿下の言葉に動揺した。

目を瞑って彼の胸に顔を埋めて、清らかな臣下の心を持つように精神統一する。
私が彼を想う気持ちがバレていたということだろうか。

今の彼の言い方だと、まるで彼も私を想っていてくれているように聞こえてくる。
顔が熱くてとてもじゃないけれど、彼の表情が確認できない。

それとも、私が魅了の力で言わせていることだろうか。
悲しいけれど、その可能性も否定できない。

だとしたら彼は純粋だけど知能が高いから魅了の力をかけてしまっても心が壊れたりしないということだ。
本心か魅了の力によるもので引き出した発言かがわからない以上、やはりまだ神経を尖らせて彼と接する必要がありそうだ。

「足が痛くて歩けないので、運んで頂けるなんてありがたいですわ」
私は周りの生徒がフィリップ王子と私の関係を誤解して彼に迷惑がかかるかも知れないのを思い出した。
婚約破棄をするにしても、彼に迷惑がかかる形では絶対したくない。

足が痛くて歩けない私を、慈悲深い彼が馬車まで運んでくれたということにしようと思ったのだ。