「今すぐエレノア様の部屋に通さないと、多くの損失を被ることになります。果たして損失を被るのはサム国、侯爵家、エレノア様のいずれでしょうか?質問の意味が理解できないなら、案内しておいた方が身のためですよと言いました」
ダンテ様が明るく軽快に言う言葉に、今、帝国の外交を一手に担う彼にそんなことを言われたら恐ろしくて通すしかないと思った。
彼はとても外交向きな人だ。
一見爽やかで親しみやすく見えて、なんだか言うことを聞かずに怒らせてはいけない怖さがある。
「正解はエレノアですか? サム国の侵略はもう少し後にする予定ですよね。アゼンタイン侯爵家は特に関係ないはずです」
レイモンドが冷静に話しはじめたので、私は思わず彼の顔を見た。
顔の赤みがひいて、しっかりとした精悍な顔つきになっている。
性欲で脳が侵されていたと思っていたが、やはり国の危機を告げにくるようなダンテ様を見て正気に戻っていて安心した。
私は彼の膝上からゆっくりと降りると、隣に座った。
「王太子殿下、本当に優秀ですね。正解です」
私には全く質問の意図がわからなかったが、せっかちそうなダンテ様が私の部屋に直行してきたことからも私に関係がある話があるのだろうか。
「レイモンド、すごいです」
私が彼の海色の瞳を覗き込みながら言ったら、また顔を赤くして目を逸らされてしまった。
私は自分の失敗を悟った。
ダンテ様が明るく軽快に言う言葉に、今、帝国の外交を一手に担う彼にそんなことを言われたら恐ろしくて通すしかないと思った。
彼はとても外交向きな人だ。
一見爽やかで親しみやすく見えて、なんだか言うことを聞かずに怒らせてはいけない怖さがある。
「正解はエレノアですか? サム国の侵略はもう少し後にする予定ですよね。アゼンタイン侯爵家は特に関係ないはずです」
レイモンドが冷静に話しはじめたので、私は思わず彼の顔を見た。
顔の赤みがひいて、しっかりとした精悍な顔つきになっている。
性欲で脳が侵されていたと思っていたが、やはり国の危機を告げにくるようなダンテ様を見て正気に戻っていて安心した。
私は彼の膝上からゆっくりと降りると、隣に座った。
「王太子殿下、本当に優秀ですね。正解です」
私には全く質問の意図がわからなかったが、せっかちそうなダンテ様が私の部屋に直行してきたことからも私に関係がある話があるのだろうか。
「レイモンド、すごいです」
私が彼の海色の瞳を覗き込みながら言ったら、また顔を赤くして目を逸らされてしまった。
私は自分の失敗を悟った。



