「エレノア様、1年でまた可愛くなりましたね。レイモンド王太子殿下にダンテ・スモアがお目にかかります。お2人はそんなにいちゃいちゃする仲だったのですね」

突然、扉が開いてダンテ補佐官が登場した。
ノックさえもしないなんて不躾すぎる。

帝国の高位貴族の令嬢は自分が厳しく教育されている為、不躾な振る舞いには厳しいはずだ。
これだけ不躾なのに完璧令嬢とも言われるアーデン侯爵令嬢の補佐官をできているのだから、そんな振る舞いを許されてしまうほど彼は優秀だということだ。

それにしても、今回はレイモンドに挨拶をしている。
やはり、サム国に帝国のスパイが潜んでいて能力や行動をチェックされていそうだ。

レイモンドが政務に取り組み、明らかに切り捨てるのが惜しい人材だと見込まれ帝国領になったら領主にする予定に変えたのだろう。

「ダンテ補佐官、アゼンタイン侯爵夫人になんと言ってこの部屋に通してもらったのですか?」
レイモンド以外にも未婚の貴族令嬢の部屋に平気で入ってくる男がいたとは驚きだ。