目を開けると、レイモンドがまだ私に口づけをしたそうにしていた。
私の唇を親指でいじってくる。

「レイモンド、本当にやめてください。私は、子供の自分が女扱いされるのが1番嫌なんです」
私は彼の胸を押して距離を取ろうとしながら言った。

「エレノア、あと3年で私と結婚するのですよ。帝国では男女とも18歳で成人してから結婚できるようになりますが、サム国では女性は16歳から結婚でき結婚すると同時に成人とみなされます」

私はレイモンドが話した事実にショックを受けた。

「なんですか、それは! サム国が女性の権利を大切にしているなんてまやかしではないですか。若い女が好きな男が作った法律ですね。レイモンド、結婚式の誓いの口づけは先ほどのように唇に近い頬にして頂けませんか? 招待客がいる方の頬にしていただければ、おそらく他の方から見れば口づけをしているように見えると思うのです」

好きでもない相手と口づけをしなければいけないなんて絶対に嫌だ。