彼は自分が最低なことをしても、人のせいにばかりして自分の非を決して認めない人だ。

「もう、やめてください。気持ち悪いです。あなたともう一瞬でも一緒にいたくない!」
私はそう叫ぶと、馬車の扉を開けて飛び出した。
なんとか受け身をとって地面に押し付けられた後、立ち上がるとすぐに見知らぬ男とぶつかった。

「ひったくりー、誰か捕まえてー。」
遠くから声が聞こえて、私は咄嗟に私とぶつかった男の後ろ姿に止まって欲しいと願った。
すぐに彼はその場に倒れ込んだ。

「おい、泡吹いてるぞ大丈夫か?」
倒れ込んだひったくり犯の前に人が集まってくる。

私は咄嗟に魅了の力を使い人を殺してしまった。

皇族専属の娼婦、孤児院の野良猫など侮辱でも何でもない、私は人を一瞬で殺せる化け物だ。
その事実に改めて気がついた時、世界が反転した。