「こレデ部屋の変更ㇵ以上ですネ」

 「でㇵ、ルールと部屋ノ鍵を配リマㇲ」


 「ルール見るの怖いんだけど…」


 遂に本格的にゲームが始まってきた。

 もう、戻れないのだ。


 「そゥだ、モうオ気づきかモシレませんガ、一般的な人狼ゲームヲ現実にしたダけでスカら、何日もかけテやってイタダきまㇲ」


 「まじ?!」


 「え、家に帰れないの!?」


 その言葉にあちこちから驚愕の声が上がった。

 春風の予想は合っていて、やはり家には返してくれないようだった。

 学校に宿泊自体は青春感があるが、状況が状況ゆえに一刻でも早く家に帰りたかった。

 そんな願いなんて叶うはずもないのだけれど。


 「先ほドモ言いマシタが、『命を賭けて』ですノで、もちロン只の追放でハナく殺害デすョ」


 殺害、死ぬ。二年生たちの中から。

 仲間を殺してしまう。

 二年生で揃って帰ることはできない。

 その事実が心を蝕む。


 「…嘘でしょ」


 「ありえないって…そんなの」


 全員、絶望したような反応だった。

 ここに希望はない。

 ただ、あるのはどす黒い血に塗れた絶望のみだ。