体育館に到着すると、他にも集まっていた二年生がいた。

 今のところ二年生以外は見当たらない。

 他の学年は帰ることができたのだろうか。

 それとも、この現状を諦めたのか。


 「私たち以外いないじゃん…先生たちはどこ行ったのかな」


 「本当によく分からないことになったよね…」


 「うぅ、早く家に帰りたいよぉ」


 ふと耳に入った誰かの悲しみの声。

 わざわざ言わなかっただけで、誰もが本当は思っていたのだろう。

 誰か一人が弱音を吐くと、周りも伝染したように「帰りたい」、「もう疲れた」と口にし始めた。

 すると、体育館は騒然とする。

 嘆いたり、愚痴を零したり、不安を呟いたり、様々だった。


 「諦めちゃダメ。ここまで来たんだから絶対帰れるよ。とりあえず、脱出の糸口とか探してみようよ」


 またしても春風たちを引っ張って前向きにさせたのは猫羽だった。

 猫羽の言葉に少しの希望を抱いた二年生は立ち上がって、周りを探索しようとしたときだった。


 「っえ?」


 視界が暗くなった。

 否、体育館が暗転したのだ。

 いきなりのことで、周りの人たちも動揺しているようだった。


 __♪~


 どこからか不気味な軋み音が響き渡る。

 何かが回るような金属が擦れ合うような高く鋭い音、スルスルと開いていくような音。

 …そうだ、舞台の幕が開く音だ。

 暗闇の中、舞台の方向に目を向けると、幕の隙間から漏れる光が見えた。

 舞台上だけが照らされ、まるでそこに何かが待ち受けているようだった。

 そして、幕が完全に開くと、スクリーンがゆっくりと降りてきたのだ