「そういえば、部屋結構いい感じだったよね」
「分かる。もっと牢屋みたいな部屋かと思った」
「牢屋って!!それはないでしょ〜」
春風の感想に、桃瀬が予想外の言葉で返すので思わず笑ってしまった。
そして、つられたように桃瀬も笑う。
「あ、着いた」
春風は口に出して、理科室を遠越しに眺める。
特に変わってはなさそうに思う。
…違った。扉の窓越しに見てみたら、本来の理科室より棚の量が増えている。
理科室の席スペースが消え去った代わりに、棚が増えたという感じだろう。
「開けてみようか」
そう言い、桃瀬は扉を開けた。
「わぁぁぁお…」
理科室内をひと目見て、驚きのあまりに感嘆の声をあげる。
棚に仕舞われている薬品の数の量が多い。
まるで、図書館の一つのスペースみたいだった。
実験器具は一切見当たらなくて、薬品しかここにはないのでないかと錯覚してしまいそうだ。
いや、多分薬品しかないと思われるが。
「すごいな、これ」
「うん。何でこんなに薬品があるのかな」
「人狼でもそんなたくさん薬品使わないよな。怖ー…」
桃瀬も春風と同じ考えだったようで、薬品の数に疑問を持ったようだ。
人狼で薬品とか使うのか?
でも、薬品で殺人って、余程理科ができる人間ではないと難しくないだろうか。
取り敢えず、たくさんの薬品を人に掛ければ殺せるのだろうか…?
でも、それって自分にも害が及びそうだが、どうなのだろう。
ならば、薬品を混ぜ合わせたものを飲ませる?
…と春風はそこまで思い至ったところで「自分は何を考えているんだ」とはっと我に返った。
こんなこと気にしない方がいい。
まるで、自分が誰か人を殺したいと思っているみたいではないか。
