「…っ」
隣で犬飼がはっと息を呑んだ。
そして、自身の頭に衝撃が走ったような感覚。
そして、やりようがない、どうしようもない怒りが湧いてきた。
自分の手で今までの仲間を殺さないといけない。
それが、どうしても嫌で。苦しくて、受け入れることができなかった。
「こんなゲームなんかに従う必要なんてないって!」
「ここに三十人くらいるんだし、あいつ殺せるんじゃね?」
「はぁ…早く帰ろうよ。多分どこかに抜け道とかあるよ」
春風や犬飼も何も言うことができなかったが、十人弱くらいの人が抵抗の声をあげた。
けれど、喧嘩を売るような発言をしても大丈夫なのだろうか。
すると、どこからか指パッチンの音が聞こえた。
ゲームマスターから出た音だった。
そう、ゲームマスターが指パッチンをしたのだ。
それくらいは大したことないのだが、この光景は__
「おット、手が滑っテシまっタ」
ゲームマスターはそう言ったが、どうみてもわざとらしい言い方だった。
手を滑らしたのも意図的なのは明白だ。
そんなことはどうでもよくて、このゲームマスターの指パッチンで、文句を垂れた人たちが、空気だったろうか、見えない何かに潰されて圧死してしまったのだ。
「きゃあああああああ!!!」
辺りから悲鳴が飛び交い、一気に騒々しくなる。
殺人現場に居合わせてしまうことは中々ない。
しかも、さっきまで一緒にいた同級生が殺されてしまった。
こうなるのも不思議ではないのだ。
