That's not such a big deal, is it?




 「異色を駆使シテ人狼ゲームで勝ツのでㇲ」

 「でㇵ、ミナサマにスマートフォンをお配リシまㇲ」


 春風たちに発言の隙さえも与えずに、ゲームマスターは話を続けた。

 てっきり、未だに姿を現さないゲームマスターがついに出てきて配布してくれるのかと思っていたが、最近ファミレスに見られるようなロボットが配布していた。


 「…はるちゃん!!」


 ロボットが端末を配っているときに、ふいにそんな声が聞こえた。

 それと同時に、春風のもとにも端末が届けられた。

 発したのは犬飼だった。

 隣に犬飼の異色であろう人物もいた。

 犬飼の手には既に配られた端末が握られていた。


 「ごめん。なんか一人で説明聞くの怖くなっちゃって…」


 たしかに、一人でいるよりかは、二人で一緒にいたほうが安心もできると春風は納得する。

 犬飼が春風の隣にやって来たところで、ゲームマスターは説明を始めた。


 「コチらのスマートフォンは、
   ルール、役職、時間、地図、連絡事項の確認
   ゲームマスターへの連絡
   死亡者一覧ファイルの閲覧
  二特化しタ端末でㇲ」


 「特化したということは、家族に連絡はできなさそうだね…」


 一人ではないという事実に落ち着いたのか、犬飼は冷静な態度であった。

 もし、春風自身も運営する側だったら、家族と連絡できるようには絶対にしない。

 家族から警察へと連絡がいってしまったら、面倒くさいことになるに違いないからだ。


 「今お配リシたソの端末でルール一覧ヲ開いテ、各自確認しテくださイ」


 ゲームマスターにそう指示されると、春風と犬飼は端末の電源を入れ、ルール一覧というものを開いた。

 そこには、かなりの分量のルールが書いてあった。