「……紗良」
名前を呼ぶ蓮の声は、切なく震えていた。
廊下の静けさの中で、彼の瞳が深い影を宿す。
「ずっと言えなかったことがある」
その一言に、心臓が大きく跳ねた。
「十年前……お前を泣かせて置き去りにしたのは、俺の意志じゃなかった」
低く苦い声が響く。
「俺は……家の意向で、婚約者を選ばされていた。
抗えば、お前の家も巻き込まれる。それがわかっていたから……何も言えなかった」
「そんな……」
足が震え、視界が滲む。
「お前を守るために、あえて突き放した」
蓮の拳が震えていた。
「好きだからこそ、傍にいられなかった。……それが俺の罪だ」
胸が痛い。
「どうして……どうして一言でも教えてくれなかったんですか」
声が涙でかすれる。
「私はずっと誤解したまま……あなたに拒絶されたと思って……」
蓮は苦しげに目を伏せた。
「臆病だったんだ。お前を巻き込むくらいなら、嫌われた方がいいと……そう思っていた」
「違います……嫌うなんてできなかった。
あのときからずっと……私はあなたが好きで、忘れられなくて……」
涙が頬を伝う。
それを見た蓮の瞳が、切なげに揺れた。
「……もう遅いかもしれない」
蓮が低く呟く。
「資格がないのは、その過去のせいだ。
お前を守れなかった俺に、もう一度お前を愛する資格なんて……」
「遅くなんてありません!」
思わず叫んでいた。
「十年待ってたんです。
あなたの言葉を、想いを……信じられる日を」
沈黙が落ちる。
蓮は苦しげに顔を歪め、それでもようやく一歩、私に近づいた。
「……紗良」
その声に込められた熱が、胸を強く震わせた。
――十年前の真実。
ようやく語られた想いは、涙と共に二人の心を再び結びつけていった。
名前を呼ぶ蓮の声は、切なく震えていた。
廊下の静けさの中で、彼の瞳が深い影を宿す。
「ずっと言えなかったことがある」
その一言に、心臓が大きく跳ねた。
「十年前……お前を泣かせて置き去りにしたのは、俺の意志じゃなかった」
低く苦い声が響く。
「俺は……家の意向で、婚約者を選ばされていた。
抗えば、お前の家も巻き込まれる。それがわかっていたから……何も言えなかった」
「そんな……」
足が震え、視界が滲む。
「お前を守るために、あえて突き放した」
蓮の拳が震えていた。
「好きだからこそ、傍にいられなかった。……それが俺の罪だ」
胸が痛い。
「どうして……どうして一言でも教えてくれなかったんですか」
声が涙でかすれる。
「私はずっと誤解したまま……あなたに拒絶されたと思って……」
蓮は苦しげに目を伏せた。
「臆病だったんだ。お前を巻き込むくらいなら、嫌われた方がいいと……そう思っていた」
「違います……嫌うなんてできなかった。
あのときからずっと……私はあなたが好きで、忘れられなくて……」
涙が頬を伝う。
それを見た蓮の瞳が、切なげに揺れた。
「……もう遅いかもしれない」
蓮が低く呟く。
「資格がないのは、その過去のせいだ。
お前を守れなかった俺に、もう一度お前を愛する資格なんて……」
「遅くなんてありません!」
思わず叫んでいた。
「十年待ってたんです。
あなたの言葉を、想いを……信じられる日を」
沈黙が落ちる。
蓮は苦しげに顔を歪め、それでもようやく一歩、私に近づいた。
「……紗良」
その声に込められた熱が、胸を強く震わせた。
――十年前の真実。
ようやく語られた想いは、涙と共に二人の心を再び結びつけていった。

