私なんかが神様のお嫁さんになりました


それから数日後、杏は女たちに止められながらも庭の掃き掃除をしていた。
杏はなにかしていないと落ち着かないのだ。

「杏様、掃除は私どもにお任せください!白様に叱られてしまいます。」

杏は笑顔で応える。

「大丈夫です。白様には好きに過ごしてよいと言われております。だからお掃除させて頂きます。」

困り顔の女たちの後ろから、突然に青龍神様が現れた。
杏は驚きの表情をした。

「…なんだよその目は、嫌なものを見たような表情だな。」

青龍神は杏に言いがかりのような言葉を放った。

「いいえ…決してそのような事は…急にいらっしゃったので…驚いてしまって…申し訳ございません。」

「…まあよい、今日はお前に良い話を持ってきたのだ。」

青龍神が良い話なんて、何か嫌な予感しかしない。

「あの…何でしょうか…」

「調べたところによると、お前はあの財前家で酷い扱いを受けていたようだな。…そこでだ、俺があいつらに復習してやる。そしてあの家に戻れるようにしてやるよ。もちろん一生困らない生活も保障する。金銀財宝もたっぷり用意しよう…悪く無いだろ?」


青龍神はニヤリと笑顔をつくり杏の顔を覗き込んだ。
人間の女は薄情だからこの条件で喜んで杏が乗ると思っていたようだ。

「青龍神様、私は周りから見たら酷い扱いかも知れませんが、財前家の人を恨んだりしていません。私を引き取り家に置いてくれただけで充分に感謝しています。」

青龍神は驚きの表情を隠せずに杏に話を続けた。

「お前たち人間は人間と結婚して幸せに暮らしたいのだろ?それなのになぜ断るのじゃ?」

「私が白龍神様のところにずっと居て良いかはわかりませんが、少なくても白龍神様から帰れといわれるまでお傍に居たいと思います。」

「お前なんて役立たずのお荷物なんだぞ!」

「そうかもしれません。わかっております。でも何かお役に立てるよう努力したいのです。白様のために何かできるように頑張りたいのです。」

杏の真剣な眼差しに青龍神は声を詰まらせた。

「なっ…なんなんだお前は…兄さまのお役に立ちたいだと…バカな女が…」

青龍神は少し怒ったような表情で踵を返すと早足で去って行った。

その後ろ姿を見た杏は、堪えていた力が抜けたのかその場にペタンと座り込んでしまった。