私なんかが神様のお嫁さんになりました


白様が急ぎその場を後にしようとした時、誰かが追いかけるように走ってくると白様の腕を掴んだ。

「白龍神様!どうかお待ちください!私は必ずあなた様の良い嫁になります。」

腕を掴んだのは紗代だった。
紗代は白様を引き留めるように腕を掴んでいた。
よほど急いだのだろう肩で息をしている。

「放せ!無礼者!お前は姉が心配ではないのか?」

すると紗代は白様に向かって泣いているように顔を覆って見せた。

「私は、お父様を止めたのですよ。…いくらなんでもお姉様を山に連れて行くなんて…ひどいわ…」

「涙なんて出ていないことは分かっているぞ!お前の与太話に付き合っている暇など無い。放せ!」

白様が腕を振り払うと、紗代は小さくチッと舌打ちしたのだった。
もちろん涙なんて出しているはずは無い。
それどころか紗代は悔しさから怒りの表情に変わっていた。

白様は紗代を振り切るとその場ですぐに龍の姿になり、山へ向かって急ぎ飛びたった。

白様が空を飛び、ちょうど山の真上に差し掛かると、そこには空を飛べる妖たちがくるくる一か所を回っているのが見えてきた。
そしてその下の方に目を向けると虎や犬のような妖たちも一か所に集まっていたのだった。

白様がその場所へ向かって地上に降りると、そこには古びた木造の小屋が立っていたのだった。

妖たちが一斉に白様に向かって声を出した。

「白龍神様、その小屋に杏様が閉じ込められているようです!」