私なんかが神様のお嫁さんになりました


翌朝になり、女性たちが杏の部屋をそっと覗いた。
すると杏は畳の上で寝ていたのだった。

慌てた女性たちがは部屋に入ると杏に声を掛けた。

「…杏様…な…な…なぜ畳で寝ていらっしゃるのですか!」

杏は寝ているところに、いきなり声を掛けられたので寝すぎてしまったと勘違いした。

「すみません!私ったらつい寝すぎてしまいました!お許しください。」

女性たちは杏に近づき、頭を床につけて謝る杏の手を優しく握った。

「寝過ぎなんてことはございません。まだまだゆっくりお休みになっていてください。ただ、私達がお声がけしたのは、杏様がお布団ではなく畳に直接寝ていらしたので、つい驚いて大きな声を出してしまいました。申し訳ございません。」

杏は女性たちの方を見て笑顔を見せた。

「私にはこんな上等なお布団で寝ることができません。それにこんなに暖かい部屋ですので畳で充分です。」

「…杏様。」

そして着替えを女性達に手伝ってもらい、着替えた杏が部屋を出ると、ちょうど白様がこちらに向かって来られていた。

「白様、おはようございます。」

「おはよう。昨日はよく眠れたか?」

「はい。」

すると横に居た女性が声を出した。

「白龍神様、恐れながらお伝えしたい事がございます。」

「なんじゃ、遠慮なく申せ。」

女性は少し言いずらそうにしながら話を始めた。

「あの…杏様が…お布団で寝ないで畳に寝ていらっしゃるのです。白龍神様からお布団で寝るようにお伝えください。」

それを聞いた白様はハッハッハッと笑うと杏の肩に手を置いた。

「杏よ、そなたはどうしてそんなに謙虚なのだ。だが、明日からは女性たちが心配するので布団で寝るのだ。これは命令だぞ。」

「…は…はい。」

杏は命令と言われて小さな声で返事をするのだった。
白様は杏の頭に優しく手を置いた。

「今日は悪いが急用ができたためすぐに出かけなくてはならぬ。朝食を一緒にしたかったのじゃが…夜には戻るので、何か欲しいとか、何かしたい事があれば考えておいてくれ。」

白様はヒラヒラと手を振ると、庭に出た。
するとすぐに体が白い煙に包まれたと思うと、一瞬で白銀に輝く美しい龍の姿に変身した。
キラキラと輝く鱗に白いたてがみ、凛々しい鹿のような角があるが、瞳は白様の深紅の瞳のままだ。

「では、行って参る。」

一瞬のうちに空高く舞い上がると、空のかなたに消えてしまった。
杏はそのお姿があまりにも美しく少しの間動けずに自然と手を合わせていた。