私なんかが神様のお嫁さんになりました


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ここは神様のお屋敷。

夕食を終えた杏はハク様よりゆっくり休むように言われて広々とした部屋に案内されていた。
そこにはすでに立派な布団が敷いてあり、机には夜食用にと冷やされたお茶と和菓子が置かれている。

「杏様、ゆっくりとお休みくださいませ。何か用がございましたらこの者に声をお掛けください。この者は“鈴(りん)”といって空を飛べる妖ですので、すぐに私どもを呼びに来ることが出来ます。」

鈴とよばれた妖は真っ白な鳥のような姿をしていた。

「鈴様、私は杏です。よろしくお願いします。」

杏が頭を下げると、鈴は驚いたように小さな女の子のような姿に変わった。
女の子は慌てた表情で話始めた。

「白龍神様のお嫁様は頭を下げないでください。杏様よろしくお願いします。私は壁の中に入っていますので何なりとお申し付けください。」

不思議なことに鈴はそれを言うと急いで壁の中にスッと消えてしまった。

一人部屋に残された杏。
立派で柔らかそうな布団を恐るおそる触ってみる、すると思っていた以上にふかふかと柔らかく滑らかな肌触りだった。
驚いた杏は布団から手を放す。

「こんなに立派な布団に寝ては罰が当たりそうだわ。」

なんと杏は布団の横で畳に寝転んだのだ。

「このお部屋はとても暖かいからこれで十分だわ。いつも寝ていた木の板よりずっと寝心地が良いわ。」

杏はいつも隙間風が入る物置部屋で板の上に麻の袋のような布団で寝ていたのだった。
それから考えれば綺麗な畳の上で寝られるだけで夢のようだ。