プロローグ

 東京近郊のマンションで、一家心中事件が発生。
 壁一面に刻まれていたのは――「ほんとうのはんにんは」。
 だが、それは二十年前の神谷家事件と酷似した血文字だった。

 現場を調べていた刑事・黒田は、机の引き出しから古びた新聞記事のコピーを見つける。
 署名は、記者・相沢亮介。

 黒田は震えながら呟いた。
 「……まだ続いているのか」


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 登場人物

 黒田 誠一(くろだ せいいち)
 前作にも登場した刑事。今回は主人公。
 「血文字」事件が地方だけでなく都市部にまで拡散していることを目撃し、調査に乗り出す。

 相沢 亮介(あいざわ りょうすけ)
 前作の主人公。すでに消息不明。
 彼の記事や遺した手帳が鍵となり、黒田の前に「輪廻の証拠」として立ちはだかる。

 藤崎 修一(ふじさき しゅういち)
 『囁き』で囁きに囚われた青年。精神を病み、療養中だが、彼の口から断片的に“真実”が漏れる。

 神谷 綾(かみや あや)
 二十年前に消えた少女。
 今作では「生まれ変わり」「写し身」として似た存在が登場し、血文字の輪廻性を象徴する。