【一般公開開始】子犬系男子の距離感がバグりすぎてて困ってます!

夜光先輩は、申し訳なさそうに、だけど怒りを堪えるように低く声を潜めた。


「え、あ、だ、大丈夫です…!」


私は必死に笑顔を作って、夜光先輩の言葉に何でもないフリをしようとする。


だけど、スマホの画面を見つめる私の指先は、


さっきから小さくガタガタと震えて止まらなかった。


「……どこが。体震えてんじゃん。


…帰り道万が一あると思うし、当分の間一緒に帰らね?俺も後輩には迷惑かけたくないし」


夜光先輩は小さくため息をつくと、私の怯えを遮るようにして、一歩、歩み寄ってきた。


コンプレックスを抱えながらも、大切な後輩を絶対に守るという、


大人の男の頑丈な壁のような眼差しを私に向けた。


「あ、う……」


先輩の圧倒的な大人の包容力と、一点の曇りもない気遣いが痛いくらいに伝わってくる。


私は思わず一歩、後ろへ後ずさるように身を引くと、


カバンを握る手にぐっと力を込めて小さく頭を横に振った。


その温かさに甘えてしまいたい自分を拒絶するように、


胸の奥にある頑固な(かせ)が、余計にきゅっと音を立てて冷たく強張っていく。


…夜光先輩が私を心配してくれているのは、よく分かる。


けど、それはそれ。私がこの人を頼るかどうかは別の話。


きっと、頼るべき、なんだろうけど。


“人様に迷惑をかける”という考えが“人を頼ってみる”という考えよりも上回ってるせいで、


先輩の言葉に素直に頷けない。


「本当に大丈夫です…!私1人で帰れます!」