「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「お母様が言ってらしたのですが。
 昔の上野動物園は、その辺にいる動物が多かったらしいですね」

 犬とか猫とか、たぬきとかキツネとかと言う。

 もちろん、今はゾウだのトラだのもいる。

「……動物園まで行かなくても、見られる動物ばかりだったけど。
 お父様と行っただけで、楽しかったらしいです」

 微笑ましげに語る珠子の顔を見つめながら、晃太郎は思っていた。

 俺は、彼女のことを好ましく思いはじめているのだろうか?

 そして、まだそうやって迷っている感じなのに、今のこの状況はどうだ?

 まだ好きかどうかもよくわからないのに、珠子を好きにしていいなんてっ、
と晃太郎は、珠子に、

「いや、よくないです」
と言われそうなことをまた思っていた。