「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」




 仕事をしながら、晃太郎は高平に話しそびれた昨日の珠子との会話を思い出していた。

「えっ?
 水族館ですか?

 いいですね。
 薄暗くて静かで、私好きです」
と珠子は笑う。

 昨日、仕事帰りに寄って、休みの日に出かける話をしてみたのだ。

 珠子は誰かを見送りに外に出ていたようだった。

 一緒について中に入りながら、晃太郎は、今の珠子の言葉について考えていた。

 ……暗いところが好き。

 誘われているのだろうか、とちょっと思ってしまったが、相手は珠子だ。

 そんなはずもない。

「上野動物園の『うをのぞき』ですか」

 ふふ、と珠子は笑う。