「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 いい男だが、いつも仏頂面。

 いや、仏頂面っていうんじゃないな、と晃太郎と並んで歩きながら、高平は思う。

 いい男だが、いつも無表情。

 そう思い変えて、

 ……いや、どっちもどっちか、
と思う。

 ともかく、顔が整っている分、笑顔じゃないと、なんだか怖いのだ。

 その上、その笑顔が出ることは、まず、ない。

 そんな晃太郎が今、微妙に顔をほころばせている。

 誰なんだか知らないが。
 岩崎にこんな表情させるなんて、すげえな、その女、
と高平は思っていた。

 だが、次の日、晃太郎の顔はまた渋く戻っていた。

「なんだ。
 もうフラれたのか?」
とからかって言うと、晃太郎は渋い顔のまま、

「俺たちの関係にフラれるとかない」
と言う。