「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「水族館とかどうだ?
 上野動物園の『うをのぞき』とか、浅草水族館とか。

 ひんやりしたトンネル状の通路の中で、二人で水槽を眺めるといい雰囲気になるぞ」

「……浅草水族館か。
 できたとき、妹にせがまれて連れてったが、魚より、人の方が多かったな」
と言うと、高平は笑う。

 水族館か。
 観工場か、百貨店か。

 まあ、何処がいいか、本人に訊いてみるか。

「なんだ、珍しく楽しそうな顔をして」
と高平にからかわれたが、不思議と嫌ではなかった。

 それらに行くのが楽しみというより、珠子の楽しむ顔が見たいというか……。

 そんな自分にしては珍しいことを思っていた。