「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「またいつかお前とハリー彗星を見たいな」

「……そうですわね」

 晃太郎は咳払いし、
「生まれ変わっても、一緒にいたいと言う意味だ」
と言う。

 珠子は笑って、はい、と頷いた。

「でもまあ、意外と生きて見られるかもしれませんよ。
 どちらにしても、七十六年後も晃太郎様といられますように――」

「珠子……」
と晃太郎は珠子の手をとった。

 二人、窓から夜空を見上げる。

 この間の明け方のように、彗星の尾が空いっぱいに輝いたりはしていなかったが。

 まだ灯りの少ない明治の東京の空は、星々の煌めきがくっきりと見え、美しかった――。


                               完