「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「……すごい勢いで町が変わっていきますよね。
 恐ろしい位です」

 もうこの辺りも私の知っていた町とは違います、と珠子は言った。

 親子仲良く歩いたこの道を、今はよく知らない雇い主(?)と歩いている。

 珠子が晃太郎を見つめると、晃太郎は、すっと視線をそらしてしまった。

 顔を背けたまま、晃太郎は軽く咳払いして言う。

「また、二人で何処か出かけるか?」

「そうですね。
 私、岩崎様の囲われ者ですし」

「……それ言うのやめないか」

「そうですね。
 岩崎様の評判に関わりますよね」
と笑ったが、晃太郎は、

「いや、そうじゃなくて」
と言う。

 だが、なにがどうそうじゃないのかは教えてはくれなかった。