「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「ほう。
 これは良い品がありますね。

 保管状態もいい。
 噂通りですね」
と男は笑う。

「船に貴重な本を載せることに不安がおありかもしれませんが。
 沈没することなどないよう、徹底しますので。

 ……まあ、沈没したときには、私も一緒に沈んでますので。
 海の中からこちらに向かい、申し訳ないと手を合わせるくらいのことしかできませんが」

 そう男は冗談めかして言った。

「でも、あんな大型船、なかなか沈むものではありませんから」

 ちなみに、タイタニックが沈むのは、この九年後だ。

「ああそう。
 申し訳ありませんが。

 この件はご内密に」

 男はそう念押しした。