「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 江戸の人たちが新しいと思って眺めたのだろう勧工場も、もう百貨店という新しい商業形態にとって代わられようとしている。

 その百貨店だって、また、時代にそぐわぬものとなって消えていくのだろう。

「そういえば、お前、三条家の娘を妾にしてるんだって?
 さすが黒崎、やり手だな」
と次郎は笑う。

 いや、その珠子さんを忘れたくて、仕事に没頭してるわけだけど。

 品の良い美しい娘を見ると、珠子さんに見えるな……。

 隣に寄り添う美男は全部岩崎に見える。

 ……岩崎に。

 岩崎じゃないか。

 じゃあ、あれは、本物の――。

「珠子さん……」

 楽しげに買い物をしている珠子と晃太郎を見つけてしまった。