その日、池田は仕事で勧工場に来ていた。
勧工場は今で言うショッピングモールのようなものだ。
数多くの商品が並び、しかも、それを土足のまま見て回れる、画期的な商業施設だ。
人出で賑わう店内を見ながら池田は思う。
今日は休日だが、関係ない。
自分たちのような新興勢力は、こうしてあくせく働いて、やっと認められるのだから。
一緒に来ている従兄の次郎などは、
「関係ないだろ。
見ていろ、今に時代は変わる。
旧勢力の奴らの方が俺たちに、へつらうようになる。
実際、そうなって来てるだろ。
どんどん変わっていくんだ、なんでも」
そこに留まっていてくれるものなどない、と言う。
「この勧工場だってそうだ。
近いうちに百貨店にとって変わられる。
それが時代の流れってもんだよ」



