「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「それで、池田様は古書店の女に入れ上げているそうですの」

「気にすることありませんわ。
 そんな古書店の女なんて、おもちゃされて捨てられるくらいのものですわ」

 ほほほほ、と笑っている娘たちの後ろで晃太郎が言う。

「お前をおもちゃにして捨てるだなんてっ」

 怒りを滲ませる晃太郎に向かい、珠子は言った。

「……おもちゃにしていいって、晃太郎様も言ってらっしゃいましたよ」

「物の例えだろう……」

 忘れてくれ、という顔を晃太郎はしていた。

 珠子はその一団に向かい、歩き出す。

「皆様、ご機嫌よう」
と話しかける。

 知っている顔だったからだ。

 女学校同士の交流会で顔を合わせたことがある。