「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 



 それからしばらく、池田からの連絡はなく。

 二人は今まで通り、平穏に過ごしていた。

 きっと池田様、縁談の件、上手くいったのですね。

 少しはお役に立てたようでよかったです、と相変わらず、池田が買ってくれているらしい牛乳を飲む。

 もちろん、薬研でゴリゴリやった珈琲を入れてだが。

 夕方、新聞配達の祥吉(しょうきち)がやってきた。

「珠子さん、ピストルで強盗を脅したんだって?」
と笑って言う。

 ……それだと、私が強盗に強盗を働いたみたいなのですが。

「ピストル持ってたんだ?」

「まあ、物騒なので」
と珠子は言った。

 この時代、ピストルは普通に買えたので、民間人でも持っているものもいた。

 なので、郵便配達員と民間人が持っていて、警察官が持っていないという不思議なことになっていたのだ。