「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「手伝うよ」
「と、とんでもないですっ」

「いやいや。
 女性にばかりこういうことをさせるのもね。

 ……なんて口実だけど」

 振り返った珠子の顔をじっと見つめ、池田は言う。

「……手遅れかな」

「え?」

「今、君になにかあったかもと思ったとき、寿命が縮まった」
と珠子の手を握ってくる。

「おい」
と現れた高平がそこにあったお盆で池田の頭を後ろからはたいた。

「お前が岩崎に珠子を紹介したんだろうが」

 紹介というか、貸し出されただけなんですけどね、と珠子は苦笑いする。

「後悔しているよ。
 何故、たくさんいる妾の中から、よりにもよって何故珠子さんを貸してしまったんだろうと」

 遅れてやってきた晃太郎が申し訳なさそうな顔をする。

 そんな晃太郎を見つめ、池田は言った。