「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 さすがアニ……ッ

 キ、まで出る暇がなかった。

 巴投げ一閃。

 珠子はアニキを投げ飛ばしていた。

 地面に叩きつけられ、落ちていたピストルに手を伸ばそうとしたアニキだったが、その手を珠子に踏みつけられる。

 珠子はそのまま、西洋の女神像かなにかのようにアニキを踏みつけたまま、見下すように見て言った。

「ピストルなぞ、私には不要」

 いや、あんたさっき、それで脅してたじゃないですか、と突っ込む勇気は二人にはなかった。

 表から長身の男たちが駆けつけたとき、ちょうど珠子が高らかに言った。

「この技は、お母様の置き土産ですわっ。
 私が物騒な目に遭わないように」

 ――こっちが物騒な目に遭っているっ!