「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「お、お嬢様がここに隠れ住んでいると聞きましてっ」

 あまりの恐ろしさに、アニキは素直にそう答えた。

 だが、天女は言う。

「隠れ住んでるのは、お金がないからです」

 さようでございますか。

 では、と男は帰りたかった。

 だが、天女はまだアニキの額にピストルを突きつけている。

 そのとき、
「珠子さんっ」
「珠子っ、無事かっ」
と男たちの声が聞こえてきた。

 逃げなければっ。

 でも、どっちかと言えば、アニキに無事かと訊いてっ、と男が思ったとき、珠子というその美女の気が一瞬、それた。

 今だっ、とばかりにアニキがピストルをはたき落とす。