「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 その日、珠子が店を戸締りして、寝る準備をしていると、誰かが戸をこじ開けようとしている音がした。

 ……晃太郎様。

 なわけありませんわね。

 晃太郎様か勝手口から無理やり入ってくるとかありませんものね。

 もしかして、泥棒っ!?

 いや、こんな貧乏そうな古書店にっ?
と珠子は思っていたが。

 あの古書店には、上品なお嬢様風の娘が隠れ住んでいる、と評判になっていたのだ。

 泥棒は、お嬢様なら金はあるだろうと思ったと思われる。

 珠子は凶器を選んでいた。

 ……強盗でなかったら、謝ればいい。

 そう思いながら。

 鉄瓶とか。

 先端の尖った(かんざし)などを眺める。