「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「別に君たちの邪魔をするつもりはないから心配しなくていいよ」

 池田にそう言われ、ホッとする。

 だが、高平はなにかを推し量ろうとするように池田を見ていた。

「他にも顔を出してもらう必要があったし、衣装合わせなどもあったから、急いで来てもらったんで、急に店を閉めることになって、悪かったなと思ってるんだ。

 今度、改めて珠子さんにもお礼をしようと思ってる」

 珠子に対して、そう他人行儀に言う池田に、……これでもう、この件は終わってくれるかな、と思っていた。

「まあ、ビックリしたが、連れていったのがお前でよかった。
 牛乳がたまってたんで、みんな、心配してたんだ」
と晃太郎が言うと、

「牛乳が。
 それは大変だったな」

 そういえば、牛乳買ってたな、と池田が、いつもの不思議なふんわり調子で言う。

 高平が、
「なんか珠子より、牛乳が腐ることの方が大変みたいだな」
と言って、ようやく少し笑った。