「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 それからすぐ、晃太郎と高平は池田にいつかの料理屋に呼ばれた。

 いつもなら心待ちにしている旧友との呑み会。

 だが、今回はなんだか行きたくないな、と晃太郎は思っていた。

 ロクでもない話になりそうだと思っていたからだ。

 珠子を返してくれとか?

 いや、まあ、珠子はもともと池田のものなのだが。

 そう怯えていったが、意外にも池田の方から謝ってきた。

「いや、悪かったね。
 自分で珠子さんを紹介したのに、珠子さんをお借りしてしまって」

 彼女でないと駄目だったんだよ、と池田は言う。

 おそらく、黒崎が管理している女たちの中で、珠子の出自が一番良かったのだろう。

 それに、愛らしいあの珠子が相手だと聞かされれば、大抵の女は諦めるだろうしな、と、

「そんなこともないだろうよ」
と高平に言われそうなことを思いながら、晃太郎は友にそそがれた酒を呑んでいた。