「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「岩崎様は珠子さまがお気に召してるんでしょう?
 友人同士で取り合うのはよくないですよ」

「……お前が連れていけと言ったんだろう? 珠子さんを」

 ですから、今回は、ですよ、と黒崎は言う。

「私は珠子様をいざというときの隠し球として、ご用意してましたのに。
 ぼっちゃまが岩崎様に貸してしまわれるから」

「だって、古書店に住んでる女性なんて、岩崎の好みそうだろ?
 でもまあ、友人は大切なものだ。

 特に学生時代の友人は――。

 珠子さんにはあまり近づかないようにするよ」

 本気にならないうちに、僕は退散しよう、と池田は言う。

「そうですか」

「ああでも、珠子さんが面白い本があると言っていたから、今度、ちょっと古書店には寄ってみようかな」

「……はあ、そうですか」
と黒崎は微妙な顔をする。