「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


「珠子さん、急にいろいろ付き合わせてしまって悪かったなあ」

 珠子を送ったあと、自宅に帰った池田はソファに座り、そう呟いた。

「それにしても、あんな素敵な人だったとは――」

 側にいた黒崎が、すぐさま言ってくる。

「私の見立てに間違いはなかったでしょう?
 他の方々にも会いに行ってみられてはどうですか?」

「いやあ、単に珠子さんが好みなだけだよ」
とあっさり池田は言った。

「黒崎は優秀だから。
 どうせ、同じような妾はそろえてないだろう?」

 誰かひとりは僕が気に入るようにね、と笑う池田に、黒崎は、
「恐縮です」
と言う。
 
「でも、ぼっちゃま。
 今回は珠子様が条件に合致しているのでお勧めしましたが。

 これで、萩野様からの見合いの話が消えましたら、別の方を探された方がいいと思いますよ」

「なんでだ?」