「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「君と僕の間には歴史が足りないらしい。
 僕らの関係性に説得力を持たせるためにも、少し、僕に付き合ってくれるかい?」

 はい、と珠子は頷いた。

 前田夫妻は車より馬車がお好きというので、普段は車が多いらしい池田も今日は馬車で来ていた。

 ライトアップされた前田家の庭が遠ざかる。

 あの可愛らしい妹さんと晃太郎様は、まだパーティを楽しんでらっしゃるのかしら、と思いながら、珠子はそれを見つめる。

 そんな自分の横顔を池田がずっと見ているのにも気づかないまま。