「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 珠子が出て行ったあと、店内を見回し、晃太郎は思う。

 このまま、ここに住みたいな、と。

 何処を見回しても好みの本がある。
 素晴らしい住環境だ。

 そんなことを考えているうちに、珠子は割合すぐに出てきた。

「お待たせいたしました」
と言う珠子は洋装に着替えていた。

 落ち着いた水色のワンピースだ。
 白い襟と大きめの胸のボタンが可愛らしい。

 この時代、男性の洋装化は進んでいたが、女性はまだ和装が多かった。

 だが、珠子は洋装も着慣れているようで、身のこなしに違和感がない。

 髪型の方は先ほどと変わりなく、リボンの色だけが、水色に変わっていた。

 珠子は髪を後ろで三つ編みにし、輪っかにしていた。
 そこに大きめのリボンをつけている。

 晃太郎の妹もよくやっている、マガレイトとかいう髪型だ。

 珠子は小顔で印象的な目もとをしており、手脚が長い。
 洋装がぴたりとハマる感じだった。

 これは、池田が彼女に贈った服なのだろうか?

 そんなに池田家とは交流がないようだったが、と思いながら、晃太郎は、
「行こうか」
と声をかけた。