「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「ほんとうに、池田様のお支えがなかったら、どうなっていたことか!」

 牛乳とか。
 新聞とか。
 電話とかっ、と小太郎に、

「いや、それ、生活必需品じゃなくない?
 やっぱり、お嬢様だね」
と言われそうなことを珠子は思っていたが。

「素敵!」
「純愛ですわ!」
と乙女たちは喜ぶ。

「いいえ
 別に池田様は私に愛などございませんわ」

「そうだねえ」
と騒ぎを聞きつけ、戻ってきていた池田が苦笑しながら言う。
 
 執事の黒崎が聞いていたら、
「あのー、二人ともお黙りください」
と言っていたことだろう。

 だが、恋愛に憧れの強い乙女たちは、まだまだ頑張る。

「でもっ、そこから愛が芽生えたりするものですわ!」
と言い出した。

「いやあ、彼女は岩崎に夢中らしいよ」
と池田が言う。

「岩崎様?」
 そう誰かが訊き返した。

「岩崎晃太郎だよ、外務省に勤めてる。
 岩崎侯爵の息子の」

「まあ、岩崎様も素晴らしい美丈夫ですわ!」

「珠子様!
 大変な状況に身を置かれてましたのね」
とみんなに同情される。