「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

  


「さあ、妾としての勤めを果たしてもらうときが来たよ」
「池田様……」

 池田が珠子をエスコートして会場に入る。

 鹿鳴館などでは豪華なバッスルドレスがまだ流行っていたが、前田家のパーティはもっとくだけた雰囲気のものなので、珠子はワンピースとドレスの中間くらいのシンプルなドレスを身に纏っていた。

 黒崎がイギリスから取り寄せていたという、柔らかな布の娘らしい淡い桜色のドレスで。

 その気取っていない、さりげない感じが余計に珠子の美貌を引き立てていた。

 早速、話しかけてきた知り合いの男性に池田が微笑んで言う。

「こちらが今、僕が夢中になっている三条珠子さんだ」

 珠子と女学校で一緒だった後輩たちも来ており、会場はざわついていた。

「珠子様よ」
「相変わらず、お美しい」

「池田様とご縁談があっただなんて知りませんでしたわ」

「池田様のおうちは資産家でらっしゃるけど。
 三条家と釣り合いますの?」