「お兄様がついて来てくださるなんて嬉しいですわっ」
妹、燁子は馬車の中で嬉しそうだった。
新しく買ったドレスを着て行く場所を探していたので、このパーティはうってつけだったらしい。
前田の老夫婦も幼い燁子を可愛がってくれていることだし。
「まあ、素敵っ。
お庭がキラキラしてますわっ。
イルミネーションというやつですわね」
洋風に造り替えられた前田家の庭は、客を歓迎するように道沿いの木に電球が可愛らしく下げられていた。
博覧会のそれに比べたら地味かもしないが、温かい光だった。
珠子と二人で眺めたあのイルミネーションを思い出しているうちに、馬車は前田の屋敷の玄関に着いていた。
仕事のせいで、到着が遅れてしまった。
珠子はここにいるのだろうか、と鼓動が速くなる。
燁子にはそのことを悟られないよう、いつも通りの顔で、馬車を降りる彼女に手を貸した。



