「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


「おい、今夜の前田家のパーティにお前行くかっ?」

 翌日、珠子のことで落ち着かない気持ちでいた晃太郎のもとに、高平が飛んできた。

 こう見えて高平は真面目なので、仕事中に私用でやってくることはないのだが――。

「ああ、庭園が完成した祝いのどうとかいう奴な」

 パーティ好きの前田家はなにかにつけて祝い事をやりたがる。

 だが、前田夫妻は人の良い老夫婦なので、居心地が良く。
 みんな結構喜んで顔を出していた。

「いや、招待は来ていたが。
 妹が行きたがってるから、父が都合をつけて連れて行くと言っていたような――」

 代わってもらえっ、と高平は言う。

「俺は今日、仕事で行けないが。
 池田が誰か女性を伴って行くらしいぞ」

 珠子じゃないのかっ? と高平は言う。

 ……妾を伴って公の場に出て行くだろうかな、と思ったが。

 高平が鍵を持っている近所の人に確認してもらったら、珠子は家の中を綺麗に片付けて出かけていた。

 事件に巻き込まれたとか、連れ去られたとかではなさそうだ。

 恩ある池田に頼まれて、何某かの用事でついていったというのは充分あり得る話だった。