「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


「困った縁談が来ましたね」

 仕事を終えた池田は自宅にいた。

 異国から取り寄せたソファに座り、本を読んでいると、いつの間にか側に来ていた執事の黒崎が言う。

「そうだなあ」
と池田は適当に返事をした。

 大阪からの移動中もずっと読んでいた推理小説のつづきが気になっていたからだ。

 だが、黒崎は唐突に、
「今です、ぼっちゃま」
と言い出す。

 なにが? と池田はようやく顔を上げた。

「こんなときのために、あのお嬢様を囲っているのではないですか」

「……なんの話だ?」

 池田は本を置き、黒崎を見上げる。