「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「おーい、いるんだろ、二人ともーっ。
 こっち来てくれっ。

 俺、敷居跨げないからっ」

 高平が外で騒いでいるようだった。

「騒がしいやつだ」
と晃太郎は苦笑し、立ち上がる。

 戸を開けながら、

「椅子をやろうか。
 お前はそこに座れ、俺たちはこっちに座って宴会でもやろう」
と言って笑っている。

「めんどくさいこと言うなよ。
 何処か呑みにでも行こう。

 ビヤホールはどうだ?
 まあ、今日は疲れてるだろうから、早く帰すから」

 そう言う高平も機嫌がよかった。

 そう。
 このときまでは、誰もが思っていた。

 珠子と晃太郎が上手くいくために必要なのは、二人の気持ちと晃太郎の勇気だけなのだと――。