「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 


 夕方には珠子はご近所さんへのお菓子を配り終えていた。

 鉄道が日本中に広がっていくまで、旅は時間がかかるものだったので。

 お土産といえば、楊枝やうちわなど、腐らないものだったのだが。

 短期間で長距離移動できるようになってからは、菓子なども土産物として人気になっていた。

 夕方訪ねてきた晃太郎にも大阪で買ってきたおこしとまんじゅうを奥の座敷で出す。

 ついでに電話の話をすると、晃太郎は眉をひそめて言う。

「それは心配だな」

「そうですね。
 父や母になにかあったのでなければいいのですが」

「まあ、良い知らせだったかもしれないぞ」
と言って、晃太郎は笑う。

「仕事が上手く行ったとか」

「だといいんですが」
と言う珠子の手をとり、

「……こちらも近いうちに良い知らせができるといいんだが」
と晃太郎が見つめてくる。

 えっ? と珠子が赤くなったとき、誰かが古書店の戸を叩いた。