「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」



 あー、楽しかったな~。

 珠子は自宅に戻り、古書店の玄関を開けた。

 ちょうど通りかかった小太郎は、
「おはよう、珠子さん。
 牛乳、そこ置いてるよー」
と言ったあとで、

「そうだ。
 電話鳴ってたよ、夜」
と言う。

「えっ?」

「ちょうど通りかかったんで、聞こえたんだ。
 珠子さんが出かけた日の夜かな」

 あの電話番号を知っている者はそういない。

 家に誰もいないことを知っているお兄様がかけてくるわけもないし、
と珠子の鼓動が速くなる。

「私は昼間聞きましたよ」

 ひょいと現れた大学教授の藤崎がそんなことを言い出した。

 頼まれていた本をとりに来たらしい。