「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 



「池田が車貸してくれたぞ。
 向こうで会ったらしいな」

 早足に歩きながら、高平は晃太郎にそう言ってくる。

 あのあと、池田は視察だけ済ませ、博覧会で遊ぶことなく、すぐ帰ってきたらしい。

「……お前が素敵な女性といたと言っていた」

 もちろん、珠子のことだろう。

「まだ、珠子の顔、知らなかったのか、池田の奴。
 だがまあ、池田が珠子を好きなわけでなし。

 問題はないだろう。

 よし、岩崎。
 そろそろ池田から、珠子を買い取ってこい!」
と高平は晃太郎の背を叩いた。

 むせながら、晃太郎は言う。

「そんな物みたいに……」