「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

「いや、このまま駆け落ちして帰ってこないかと」

「駆け落ちしてどうする。
 仕事をやめたら、珠子を養っていけないだろうが」

「……なんでお前はそう冷静なんだよ」
と言い合う二人を珠子は笑って見ていた。

「おっと、急げよ。
 遅れるぞ」
と高平が晃太郎を急かす。

 晃太郎はこのまま仕事に行くのだ。

「珠子、大丈夫か?
 家まで送ってやりたいんだが」
と言う晃太郎に、高平が勝手に答える。

「大丈夫だ。
 珠子は昔から、俺よりしっかりしている。

 ……昔、博覧会で、自動鉄道(ローラーコースター)で引きつる俺に笑顔で話しかけてくるくらいしっかりしてるから」

 そうでしたっけね?

 はは……と珠子は苦笑いした。