「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 



 ガイドブックの最後についている時刻表には、朝の急行に乗れば、食堂車があると書いてあったが。

 午前六時三十五分に乗るのでは、朝食も楽しめないし。

 この疲れ切った状態で、早朝、神戸まで行って列車に飛び乗るのは無理がある。

 堺の水族館にも行きたかったので、午後一時二十五分の列車に乗ることにしていた。

 食堂車がないので、途中、窓越しに立ち売りの駅弁を買う。

 旅の思い出を語ったりしているうちに、珠子はうとうとし、気がつけばもう朝で、新橋停車場に着いていた。

 高平が二人を出迎えてくれる。

「お兄様!」
「無事に戻ったか、妹よっ」
と言う高平に、

 晃太郎が、いや、何故、無事に戻らない想定がある、という目を向けている。