「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」

 



 帰る前に、博覧会門前駅から蒸気機関車に乗って堺へ行き、博覧会の第二会場となっている水族館に行った。

 二階建てのその水族館はガラス張りの天井で、下から魚が眺められるようになっている。

「上野のうをのぞきも独特の雰囲気でよかったですけど。
 これはまた素敵ですね」

 ガラスの向こうで、ひらひらと泳ぐ艶やかな魚たちを見ながら、珠子は思い出していた。

 初めて二人で出かけた、あのうをのぞきのときのことを。

 あのときは、まだぎくしゃくしていたが、今はそんなこともない……。

 チラと珠子が振り返ると、晃太郎は何故か、二、三歩後ずさる。

 ……こともないか、と珠子は苦笑いした。